プロフィール
三栖右嗣氏(みすゆうじ)記念館は敷地内のシンボルツリーや新河岸川沿いの桜並木など、サクラとはなじみの深い美術館です。スタッフがブログを通じて、さまざまお知らせを提供し、さくらのように愛される美術館づくりをめざしています。
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スタッフブログ

ヤオコー川越美術館三栖右嗣記念館スタッフによるブログです。

‘日記’ カテゴリーのアーカイブ

え? 800号の大作<ナガールの花束>が...


1985年、今から27年前のこと、東京と新潟の伊勢丹で「昨日、今日そして明日―三栖右嗣展」が開かれました。この展覧会に、800号近い大作<ナガールの花束>が出品されたのですが、その図録で美術評論家の村瀬雅夫氏が「パキスタンの秘境の地の取材の成果を800号近い大作にした<ナガールの花束>は、人物群像の記念碑ともいうべきだろう」と論評しているのをみつけました。

800号という、途方も無い大きさの人物群像?あらためて図録を見直してみましたが、どこにも大作ナガールの写真は載っていません。
驚きました。展覧会で配布された図録の評論に、このように明記されているのに、写真が載っていないのは、どうしてなのでしょう。それに何故、これまでそのような大作の存在が、どこからも聞こえてこなかったのでしょうか。この二つの謎を何とかして解きたい、と思いました。

ところで、ヤオコー川越美術館には <ナガール・50号・油彩> <ナガールの花束・30号・油彩> <ナガールの青年・20号・油彩> とナガールに取材した作品としては、3点が収蔵されています。(うち、<ナガール・50号・油彩>は、現在美術館に展示しております)作品を収蔵庫に収める際、一点一点すべての作品の確認作業を行ないます。「たとう」と呼ばれる外箱の中に、黄色い布の袋に包まれた作品が入っています。<ナガールの青年>を黄袋から取り出した瞬間のことです。全身が現れる前に、袋の端から青年の黒い瞳がこちらを見つめてきました。絵の中の青年と、目が合ったのです。
美術館の図録の写真で見た<ナガールの青年>は、白い峰々を背に、ぶかぶかの青衣をまとい、開いた両足の間に小さな花束をおき、絵を見る人に正対して座っています。しかし、瞳に力はありません。ところが、袋から出てきた青年は、生きていました。物問う瞳を持っていたのです。
20号に描かれた青年が、この迫真力です。800号のパノラマの中の人物群像はどんな表情を見せてくれるでしょうか。想像はかきたてられ、早く見たくてたまりません。が、絵はいったい何処に...先の二つの疑問が、また浮かんできました。

あらゆるつてを辿って調べ、やっと分かりました。まず、何故、図録にこれほどの大作の写真が載らなかったのか、その答えは、画伯がアトリエから展覧会場に搬出するぎりぎりまで、手をいれていらしたので、写真撮りをする暇がなかったからだそうです。そして会場についてからも、なお仕上げの筆を入れ、伊勢丹の担当の方々を驚ろかせたそうです。なかなか筆をおくことができないほど、先生は絵に沢山のものを注ぎこんでおられたのでしょう。
次に、絵はいま何処に?実は、購入された方が、おそらく母校だったのでしょうか、ある高校に寄贈なさったのだそうです。生徒たちが常に集まるラウンジに高く掲げられ、若者たちの真摯なまなざしに見つめられ、ナガールは幸せな日々をすごしていたのですね。

残念なことにこの絵は、一般に公開されてはいないそうですが、学校側の特別なご好意で、見せていただけることになりました。
次回は、その結果についてお知らせいたします。どうぞお楽しみに。by平井


七夕


街のいたる所に 星に願いを託した
七夕飾りを見かける季節になりました
「願い事がかないますように」と 色とりどりの短冊や
飾りを 笹の葉につるし 星にお祈りをする
古くから行なわれている日本のお祭り行事です

先日 ビックサイトで開催された
東日本大震災復興支援イベント
「フラワードリーム2012」の会場で
東北出身のフラワーアーティスト 萩原なな子氏による
星をイメージされた作品を見つけました
復興活動をしている方の心がなごむようにデザインされた
「希望への花回廊」
その行く先には
夜空を見上げ 満天の星の光で癒されるよう願いが込められた
「星月夜」が輝き
ゴッホの代表作「ローヌ川の星月夜」を思い出す
ロマンチックで心に響く
「大人のための七夕」の雰囲気を持つ
素敵な作品でした

本日はあいにくの雨
今年は なな子氏の「星月夜」の星に
願いを託したいと思います

            BY 小森


父の日と黄色いバラの絵


6月17日は父の日です

今年の父の日のプランはお決まりですか?

お父様とご一緒にゆったりとした時間を

ヤオコー川越美術館で満喫されてはいかがでしょうか?

先日三栖画伯のご自宅にお伺いした際

玄関ホールに 画伯がお母様をモデルに描かれた素敵な作品が飾られ

それに寄り添うように 父の日の象徴 黄色いバラの絵があり

温かく 優しい気持ちがあふれていました

いつか美術館で2枚の作品を展示できたらすてきだなと思いました

近日ミュージアムカフェコンサートを開催予定のスペースは

初夏の光がおだやかに降り注ぎ

名物のおはぎと紅茶を楽しめます

ミュージアムショップには

おとうさんありがとう と

日頃の感謝の気持ちを書くのにぴったりなグリーティングカードや

父の日のプレゼントにおすすめの

ビジネスマン必読の書

「ヤオコーを創るために母がくれた50の言葉」も販売しています

父の日のラッピングも承ります

伊東豊雄設計のミュージアムガーデンは

春色からすっかり初夏のグリーンカラーになり

いつもお忙しいお父様がリフレッシュされることでしょう

是非あそびにいらしてください

                           by小森


ホタルと裸婦の絵


三栖画伯はホタルがお好きで

都内にあるホテルの庭園まで蛍狩りへお出掛けになったそうです

裸婦のまわりにホタルを飛ばす作品の構想まで出来上がっていたそうですが...

どんなにロマンチックな作品になっていたのでしょう

いろいろと想像して楽しめますね

 

今年もホタルの季節になりました

三栖画伯のアトリエがある玉川村周辺には

自然の蛍狩りスポットがたくさんあります

まるで ボタン雪がゆっくり降るかのように

無数のホタルが光を放ちながら飛んでいる光景は

ロマンチックで幻想的で感動します

 

都内でもホタルの幼虫を育て蛍狩りを楽しめる川があるとお伺いしました

いつか美術館の前を流れる新河岸川も

ホタルの住める川に出来たら

なんてすばらしいことでしょう

                            by小森


三栖右嗣エッセイ 沖縄の海とサバニ


10年の沈黙を破った三栖右嗣は、精力的な制作を開始し、北海道シリーズ、リンゴ園シリーズ、海のシリーズなどの連作を世に問います。なかでも「海」は、画家が長年心に温めていたモチーフで、北海道や千葉、沖縄の海を取材し続けていました。

千葉の漁師の吉宗さんは、「かもめとキッツォ爺さん」のキッツォさんのモデルとして有名ですが、沖縄でもたくさんのご友人との交流が生まれたようです。

そんな折、1975年の沖縄海洋博記念「海を描く現代絵画コンクール」に、画家は100号の「海の家族」を出品し、4000点にのぼる応募作品の中から、見事、最高賞のグランプリを受賞したのは周知の通りです。

ところで、三栖右嗣は文章はあまり多く残していません。そんな数少ない中からエッセイ「沖縄の海とサバニ」をご紹介します。多少長めのエッセイですが、それだけに画家の温かいお人柄と、たくまざるユーモアを満喫して戴けることと思います。by平井

 

沖縄の海とサバニ

酒を酌み交わす親友S氏は沖縄宮古島の生まれである。彼の幼い頃、子供達はたまに海岸に流れつく椰子の実を拾い、その果汁を飲むのが楽しみだったという。

その頃は今の都会のように洒落れた菓子等が山とあふれていた時代とは違う。しかも南海の孤島のことだから甘いものといっても数少ない菓子類と畑の糖黍をかじるしかなかったのかもしれない。なにしろたまに夜のうちに一つ位流れつくものらしいから、早い者勝ちでよほど早起きしなければ誰かに拾われてしまうので、眠い目をこすりながら出かけたものだという。

彼の童顔と丸く太った体つきを見ていると、幼いころのまっ黒に陽焼けした丸顔に、つぶらな目で寝床からむっくり起き上がって出掛けていく彼の姿が手にとるように私の瞼に浮かんでくるのであった。

──白々と明ける海岸を丸くなって駆けて行く、遙か波打際の椰子の実を拾い上げると子供は珊瑚礁の鋭く尖った岩に打ちつけ、飲み口を作るとその甘い果汁を一口飲みホッと呼吸を吐くと、放心したように海の彼方をみつめる──。

そんな情景と"名も知らぬ遠き島より流れよる椰子の実ひとつ"とあの「椰子の実」の歌がダブってくる。子供心にも日頃、齧じり馴れた糖黍の甘さと違った名も知らぬ遠い島の甘いロマンを小さな咽に感じていたのかも知れない。そしてその実は、長い波枕を重ねて表皮にタカツメ(現地の呼び名)の貝を寄生させてトゲトゲをいっぱいつけていたという。歌の椰子の実もそんな姿であったろうか──。したたかに酔った私はその椰子の実の果汁のように甘い感傷を味わっていた。

私のなかに沖縄の思慕が生まれはじめたのはそんなことがあってからのことであった。

初めて尋ねた沖縄で、私はサバニの魅力にといつかれてしまった。サバニは当地の漁舟で、1975年に開催された海洋博のポスター等で記憶にある人もあるであろう。舟尾は鋭角的な逆三角形で、舟底は殆んど無く舟首にかけて鋭く尖り、一見不安定と思われるが海を走れば外の舟に比べて安定度は高い。それに張りを持った魅力的なふくらみのあるカーブは、外のこの種の舟にはない。彼等の海の漁法に叶った機能の追及の結果なのだろう。

自然と漁師達との戦いの中から不要なものを全部削り去るまでの永年の間には、漁師達の尊い幾つかの命も奪われたことであろう。まさに形の追及の極と言うべきだろう。機能の極は美に通じるとはこのことなのであろうか。その小さい舟体を塩水から守るため鮫の油を塗り重ね、茶褐色に染めた精悍なこの木造舟はなんと美しい形であろう。

その後、何回かの沖縄行きも、風景を求めてというよりサバニに逢いに出かけて行くと言った方が当っている位であった。近ごろは少し大型になりエンジンをつけたり、化学塗料を塗ったりしてつまらないものも多くなったが、最も原始的なサバニを求めて島を尋ねるのが楽しみである。

昨年の夏、離島に渡って夜釣りの舟を頼んだ折、いいサバニに乗ることができた。漁師からサバニの話を聞きながら夜釣りを楽しんだ。ところが涼しかったせいか、途中で小用を足したくなってしまった。

私の体重は百キロを越す始末なので,漁師とS氏に舟の片方に寄ってバランスをとってもらい、用を足すことにしたが、舟はなにしろ鋭い逆三角形である。そり返って腰を突き出すと、彼らは精一杯ふん張ってバランスをとってくれるのだが、徐々に体重を前にかけてゆくと私の重みで舟端が海面すれすれになる。2対1でいい勝負なのである。少しのショックでも舟から飛び出して真っ黒な海に飛び込みそうである。

「こんなこっちゃ、絶対にひっくり返らんから大丈夫だよ」とかえってくる。その確信にみちた響きにすこし大胆になった私は、まことに不安定なへんな恰好で何とか用が足せ「ホッ」としたものだ。

二人に、その私のおかしな恰好と目方の重さをさんざん冷やかされたが、思わぬことで舟の安定性を体験できて、

「さすがサバニ!」と内心大いに満足であった。「利根の川風たもとにいれて......」と浪曲に唄われた利根川に、その川辺で繁っている笹で作ったような舟底の平らで浅い木舟が似合うように、苦しみも悲しみも緑色に溶かし込んでしまうような、あの底ぬけに明るい沖縄の海には、その自然のなかで生まれたあの黒々として精悍な風貌をしたサバニが、風景としてもやはりピッタリなのである。            三栖右嗣


お母さんいつもありがとう



5月13日は、母の日です
今年の母の日は
お母様と一緒にヤオコー川越美術館へいらっしゃいませんか?
思い出に残る すてきな母の日になることでしょう

現在 三栖画伯がお母様をモデルに描いた作品が3点展示中です
なかでも、安井賞を受賞した
「老いる」のエチュード(裸婦のお母さん)は
絵の素晴らしさに感動し 
ご自分のお母様を思い出し
思わず泣いてしまうお客様がいらっしゃる程 圧巻です
是非お母様とご一緒に鑑賞していただきたい作品です

明るいミュージアムカフェで 
大人気のおはぎとコーヒーはいかがですか?

ミュージアムショップでは
母の日のプレゼントに最適な図録やマグカップのラッピングも承ります

カーネーションのお花をお探しの方は
ヤオコー店舗内にある
お花コーナー「フラワー タイム」がお勧めです
お母様にぴったりのお花ギフトがきっと見つかりますよ
お母様の喜ぶ顔を想像して 素敵なプランを練って下さい

(ヤオコー新座店 フラワータイムの売場写真)

                                by小森


ミュージアム カフェ


こんにちは。
ただいまゴールデンウィーク真っ盛り。
お天気も回復し 皆様思い思いに休日を過ごされていらっしゃるでしょうか。

早いものでヤオコー川越美術館は オープンからもうすぐ2ヶ月が
経とうとしています。
たくさんのお客様のご来館に感謝しております。

今日はラウンジにある ミュージアム カフェのご案内をいたします。

お出ししているコーヒーは土壌作りからこだわった有機栽培のブレンドです。
深煎りでありながら酸味も感じます。
アイスコーヒーも同じく有機栽培のグァテマラを使用。
心をこめてお出ししています。是非 味わってみてくださいね。

使用しているカップ&ソーサーは
シンプルでモダン なめらかな曲線も美しいものです。

カフェだけのご来館も歓迎しております。
入館料はいただきません。

ラウンジに展示してある大作 <爛熳>を眺めつつ
窓の外の水の流れや ドアがあくたびに聞こえる鳥のさえずりに
耳を傾けながらゆったりとお過ごし下さい。

スタッフ一同 お待ちしております。

                        by わたなべ 


まむ君と美術館


フレンチブルドックの まむ君が
お散歩の途中 美術館に来ました。

飼い主様が 絵を鑑賞して カフェでお茶を楽しまれている間
お利口にミュージアムガーデンで休憩していましたね。

             
リードをつないだ、自転車置き場のポールは
受付からもカフェの窓からも よく見えるので安心でしたね。
今日のお散歩コースは
川越市立美術館の近くの「川越菓舗 道灌」で柏餅
ZAKKA&CAFE「ピース ピース」で
ワンちゃんグッズのお買い物をしてから いらしたそうです。
また 遊びにきてくださいね
お待ちしております
                      小森 記


<盛況感謝>


当美術館は3月11日に開館し、早くも40日以上が経過しました。
写実派の巨匠三栖右嗣氏の絵画と、世界的な建築家伊東豊雄氏の
建物を鑑賞される為に、
毎日予想を超える多くの来客者で賑わっています。
また桜の開花時には、目の前の新河岸川で盛大な桜祭りが実施され、
多くの花見客で賑わいました。
折りしもその桜祭りに出席された、
民主党の衆議院議員 小宮山泰子氏を会場で偶然おみかけし、
当美術館にご招待することができました。
氏のお話によると、
お父様が国会議員勤続25年で表彰された際、なんと三栖右嗣氏に
肖像画を描いて頂いたとのこと・・・。何たる偶然でしょうか。
小宮山議員が館内の三栖右嗣の作品を、
感慨深げに鑑賞されている姿が印象的でした。
その感想を、早速フェイスブックに投稿して頂きました。
ありがとうございました。
皆様方もぜひ当美術館にお出かけ下さい。
スタッフ一同心よりお待ちしております。

                   宇多村 記


4月25日は三栖先生の誕生日です


4月25日で、三栖右嗣生誕84周年になります。
私は昨年10月から、「三栖右嗣記念館」の開館に携わって
きましたが、残念ながら生前の三栖先生には、一度もお目
にかかっていません。
今後、三栖先生の奥様から、生前の先生のお人柄やエピソー
ドなどを、少しずつお聞きするのが楽しみです。
当美術館は3月11日の開館以来、三栖先生の力作に惹かれ
る多くの入館者で賑わっています。
先生は、「絵描きは作品がすべて。言葉はいらない」という
信念を持つ画家。自作や心情を記した言説を多く遺していま
せん。
花も、実も、海も、いのちあるものとしてとらえ、「生命
(いのち)」と云うテーマで作品を生涯描き続けた画家です。
                      宇多村 記