
美術館のうしろに、小さなお店があります。地元野菜の販売所です。美術館が出来上がる以前から、ここでIさんご夫妻が、無農薬で丹精込めてつくった野菜を並べていました。地元の皆さんに大人気で、いつも賑わっていました。美術館を設計した伊東豊雄先生は、そのつながりを大切なものと考え、以前とおなじように敷地の西側の入り口に、本館とマッチした野菜売り場をデザインしてくださったのです。I さんご夫妻のお人柄と相俟って、なんとも温かい空間をかたちづくっています。
ブログでのご紹介がおくれてしまいましたが、私たちも、この半年間、季節のお野菜を美味しくいただいてきました。
冬季は、原則として月水金の9時から12時まで。無農薬だし、腕もないのでみばがわるいよ、などとご謙遜なさっていますが、いずれも只者ではない野菜たちで、カブなんて、小ぶりながらとてもよいお味。糠漬けにしたら、まるでメロンのような香りがしました。胡麻もおすすめです。かるく炒ってごますり器にいれて食卓へ常備。すりすりして、何にでもふりかけて食べます。インゲンは筋をとらなくてもちっとも歯にさわらず食べられました。それから今年のシーズンはとっくにオフになりましたが、トマトもお勧めです。トマトの成りに合わせて4月の下旬から秋口までは毎日、朝の8時から店開きをし、トマトの売り切れと同時に閉店です。前を通りかかった時に買っておかないと、帰りに見たらもう閉まってた...なんてこと、よくありますよ。美術館のおみやげに地元野菜を是非どうぞ。今日はやってるか~い、とかトマトはもう売ってますか、等々お気軽に美術館までお問い合わせください。℡049-223-9511です。byひらい



もうすぐクリスマスですね。川越の街もあちらこちらでライトアップをしていてとてもきれいです。
昼間の美術館は多くの方に楽しんでいただいておりますが、今日は もうひとつの美術館の顔をご紹介いたします。
暗くなると水辺をぐるりとライトが囲み、シンボルツリーの枝垂桜もライトアップされてとても幻想的なんです。桜の咲くころはさぞきれいでしょうね。今からとても楽しみです。
美術館の遊歩道は24時間開放しています。今は寒いのでお誘いしませんが、また春が近づいたらぜひ夜の美術館もお散歩がてらご覧になってください。 byわたなべ
株式会社朝日旅行様主催の日帰りバスツアー≪川越モダン・・・美術館と洋館めぐり≫コースにご参加の皆さまが本日ご来館くださいました。
当館をコースに選定下さった株式会社朝日旅行様にこの場を借りて御礼申し上げます。
マネージャーの宇多村から作品や建物の説明をさせていただきました。
みなさまそれぞれお楽しみいただけましたでしょうか。
三栖画伯の作品をお褒め頂いたり、伊東先生設計の建物をお褒め頂いたり・・・・・・
それから、ヤオコー名物のおはぎのお味はいかがでしたでしょうか。
「今度はゆっくり来ますね」 とおっしゃって頂けたことが何より私たちの励みになります。
これからもヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館)をよろしくお願い申し上げます。
いつもブログをご覧になって下さりありがとうございます。
12月2日(日)早朝、早くも美術館の池に初氷が観測されました。
季節は寒くなりましたが、館内は対照的に三栖右嗣先生の「熱い」絵画と、伊東豊雄先生の設計された建物で「ホット」です。
ラウンジでは 心を込めてお淹れした美味しいブレンドコーヒーをご用意して、スタッフ一同お待ちしています。 by 宇多村

今年の春、新河岸川のほとりに、素敵な水場をみつけた。白い建物を、浅い池がぐるりと取り巻いていて、池の水をなめてみると、美味しい地下水なんだ。僕は毎日水を飲みに通った。
そのうち、オタマジャクシと知り合いになった。黒くて、ちっちゃくて、すばしこくて、とても食えたものじゃないから放っておいた。
夏になると彼らは、小さな青ガエルになって、植え込みに消えていった。
しばらくすると、オタマジャクシのかわりに、なにか同じようにすばしこいものが、水中を飛び回ってるのに気付いた。よぉく目をこらしていないと見失うほど速いんだ。
まわりで人間たちが
「ねえ、水の中にいるあれ、なぁに」
「あら、ヤゴじゃない?めずらしい、何年ぶりかで見たわ」
僕は待つことにした。
その頃、カラスが一羽やってくるようになった。でも彼は、豊かなエサ場を持っているらしく、池の生き物たちには何の関心も示さなかった。パンやらソーセージやらを袋ごと運んできて、水辺で食い散らし、池の水を飲むと帰って行った。
秋になると、ヤゴたちは、建物正面のガラス窓、アプローチ、横手の出入り口に上陸し、孵化しだした。孵化したてのヤゴは、あ、もうトンボだが、そいつはやわらかくて美味いんだ。僕はたらふく食べた。毎日々々食べた。そして、たくさんの白い糞をおとした。二人のおじさんが、みつけるやいなや掃除してくれた。
だけど勿論、食べきれるものじゃない。そのうち、赤トンボがいっぱい、建物の周りを飛び回るようになった。
僕の天国は、突然終わった。最後の一匹の抜け殻が、今も窓のふちにのこって揺れている。そいつは、僕が気付かぬうちに、どこかへ飛んでいってしまったらしい。
今の僕を見てくれ。ずいぶん太っただろう? byせきれい
─スポーツカーも似合う美術館─に、また素敵な車が来てくれました。
11月25日の日曜日、ふと駐車場を見ると、なんと かぁっこいい~スポーツカーが停まっているではありませんか。
車好きの私は、早速、ラウンジでブレンドコーヒーを美味しそうに飲まれていた持ち主の素敵な青年にお願いして、美術館の正面で記念写真を撮らせていただきました。車種は「ロータスエリーゼ」118馬力、1800CCです。
伊東豊雄先生設計で、「都市景観デザイン賞」受賞の当館にピッタリおさまりました。by宇多村
演奏者の下山さんが準備中、「都市景観デザイン賞」授賞式のあと、美術館に立ち寄られた伊東先生に、建築にも造詣の深い下山さんをご紹介しました。そのお礼にと下山さんが、何と伊東先生に曲を一曲プレゼントされたのです。
その曲目は、ご存知アンドレ・ギャニオンの「めぐりあい」でした。
演奏終了後、伊東先生がうれしそうに拍手をされたのが印象的でした。
下山さんはあとで私に「あんなに緊張したのは初めてです」と、経験豊富なあのプロピアニストが心境を語っておられました。
伊東先生は当館設計の際、ラウンジでのコンサートも想定して設計されていたのです。はからずも、芸術家同士の心温まるひとときを演出したかたちの私は、その日は終日上機嫌でした。 By 宇多村
ブログの読者の皆さま、こんにちは。「次回はナガールでの三栖先生の取材の様子をお伝えします」と予告してから、ずいぶんたってしまいました。申し訳ございません。
さて、この超大作800号の「ナガールの花束」が発表されたのは、1985年。新宿の当時の伊勢丹美術館で開かれた「昨日・今日そして明日展」でのことでした。この展覧会について、美術評論家の村瀬雅夫先生が論評されています。当ブログに全文掲載することをご了承いただきましたので、ご紹介します。村瀬先生はご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、読売新聞美術欄を長く担当され、その後福井県立美術館長、渋谷区立松濤美術館長を務められました。三栖先生とは、公私ともに長い交友をむすばれ、その美術評は、深く三栖作品に切り込んでいます。
たくましく清冽 三栖右嗣展
絵画のたのしみ、素晴らしさを十二分に堪能させる──「昨日・今日そして明日─三栖右嗣展」は、ひさびさに近年まれなそうした充実感を与える。 空気まで真っ赤に染めて咲き乱れるケシ、陽光に輝くコスモス、水辺にゆったり咲き誇るボタン、人生の未来へ夢を宿す少年や少女の肖像、柔肌のみずみずしさがにおい立つ若い女性像や裸婦、厳かな老い、歴史の中に横たわるスペインの古い町並み、雄大な空の下の耕地──恐らくいつの世にも変わらぬありふれた日常の平凡な情景をかりて、画家はこの世に生を受け在るものたちの喜びの思いをつづる。優しいものも、雄々しきものも、可憐なものも、もろもろのものたちはこの世にたのしみを身いっぱいに受け、健やかであれ──画家の見事な筆技は、豊かな生命の流れをこまやかにすくいあげ、たたえ、目を喜ばせてこの世の素晴らしさに誘うようである。心たのしませる卓越した技量の背後には、たじろがず敢然と善きものを守りはぐくむ画人の意思の堅固さと偉大さもどっしりと巨人のように控えているようである。十年前の「海を描く現代絵画コンクール展」とその翌年の安井賞展に相次いで大賞を取り、五十歳に近く遅い画壇の人気を得て後も、画家は同じ作風を一心に磨き鍛え続けている。その十年の歩みも展望するこんどの個展には、現代でははやらない修練をうまず続ける画家の、ゆるがぬ信念や主張もひときわ明瞭になっている。その作品のひとつは、大作「ナガールの花束」だ。雪山に連なるパミール高原に生きる子供たちと花々が、まだ美しい地球の生を謳歌する。日本油彩画にかつてない群像人物表現は、おそらく現代屈指の水準だろう。展覧会の前日、会場に運びこまれた大作を壁に立て、画家はぬれタオルを頭に載せ、雪山に悠然と筆を加えていた。すでに円熟の境地に至っている画風は古今の巨匠の手から生まれる作品がもつおおらかな気品も備える。現代日本にこうした画家が生まれ、その作品を楽しめるのは同時代の大いなる幸せではあるまいか。
会場でも濡れタオルを頭になお加筆されている三栖先生の様子が目に浮かぶようですが、奥様にうかがったところでは、アトリエから絵を出す際にも、運搬の人々がアトリエに入るぎりぎりまで筆を持っておられたようで、油絵具の乾かぬ状態での運送は、きっと大変だったでしょうね。
ナガールに取材したこの年(詳しい年数は不明)は、イスラエル、パキスタン、スペインと三つの海外旅行を強行されたそうです。旅慣れた三栖先生は、秘境であるパキスタンのフンザ行に際しても、「僕はカレーが大好物だし、食べ物に関しては何の心配もない」と自信満々でいらしたようですが、日本のカレーと違ってかの地のそれは匂いがきつく、出される食物すべてまったく口にできず閉口されたそうです。「本当に弱り切っていましたよ」とは同行された奥様の弁です。
フンザからナガールに抜けるには、深い渓谷をのぞむ斜面に切り開かれた隘路を、小型の中古のジープで進むのだそうです。片側はそり返るような急斜面、反対側を見下ろせば千尋の谷です。(どんなに恐ろしい道中だったかは、同じ道を通った宮本輝著「ひとたびはポプラに臥す」文庫本の第六巻72頁からをお読みください。私はこのブログを書き始めてから偶然この本を読んでいて、82頁に突然「そこはナガールという村で」というくだりに出会い、びっくり仰天してしまいました)
三栖先生は恐れ気もなく、悠然と巨体を狭いジープの座席に沈めていらしたそうです。遥か谷底の川面の青いきらめきや、カーブを切るごとにあらわれる白い峰々を、画家の目で観察していらしたせいかもしれません。到着したナガールで、先生はひときわ人々の目を引いたに違いありません。好奇心に溢れた少年たちが遠巻きにし、やがてその眼差しに引き寄せられるようにして近寄ってくる......そんな光景があったでしょう。少年たちはこの巨きな人物が画家であることを知ると、花を摘んでは持って来てくれたそうです。そして、一人ずつ、嬉々として自分が描かれる順番を待ったのでしょう。
800号の「ナガールの花束」には、20人の少年が描かれていますが、20人が一斉に並んだのではなく、過去の「海の家族」での人物構成にみられるように、土地をたがえ、時を隔てて取材してきた人々を、一枚の画布の上に再構成する、という手法で描かれたものです。 いつの日かこの大作をこの美術館で展示できるといいのですが...。


byひらい 三栖先生の写真撮影は、カメラマンの高尾晴一氏です。
11月10日 夕暮れの中♪桜坂♪の優しいメロディが館内にゆったりと響き渡り ピアノコンサートがはじまりました。
ラウンジの「爛熳」といっしょに音楽会を開きたかったとおっしゃったミュージシャンのシモヤマエイジさん。
今日の楽曲のひとつや音符のひとつをおもいだしてほしい。花のような空気のような音楽を作りたいと思った。それは聴いた人を美しくするから・ ・ ・と。
本当にそうでした。
皆様 素敵な笑顔で帰っていかれました。
コンサートが終わりに近づく頃、 ラウンジ内はすっかり暗くなり[爛熳」とシモヤマエイジさんだけがライトで浮かび上がり とても美しかったです。
by わたなべ

美術館がオープンして8ヶ月がたちました。
たくさんのお客様にご来館いただきました。ありがとうございます。
来月は早いものでもうクリスマスです。
一足早く 美術館にクリスマスツリーを飾りました。
三栖右嗣先生の絵画と伊東豊雄先生の建物 そしてはじめてのクリスマスツリーをご覧になってください。
スタッフ一同 お待ちしております。
by わたなべ