せきれい物語ー告白そのⅠー
みなさん、こんにちは。ずいぶんご無沙汰してしまいました。
うすうす、お察しとは思いますが、カラス君に僕の恋の進展について、勝手な憶測記事を書かれる前に僕から告白します。
僕が恋に落ちたのは本当です。すべての始まりは、僕がここで、まさにこの場所で彼女に出会ったことでした。あの、ふっくらとした、そして優しげな茶色の羽毛につつまれた、可愛い雀さん。その姿を一目見た瞬間、雷に打たれたように僕の心臓は跳ねあがり、網膜に焼付いた映像は、消えることがないのです。
最初は、遠くから見つめているだけで満足だったのです。あるいはまた、美術館の庭で、何気ないふうを装ってすれ違う時、ふとゆきずりの僕を見る彼女の視線を感じるだけで幸せだったのです。散歩にでかけ、美術館の庭で会う。雀さんにとっては偶然でも、僕にとっては一日の大切な日課でした。
そんな風にして、3ヵ月がすぎました。あんなに咲き誇っていたアガパンサスも、枯れてしまいました。
「おいおい、3ヵ月も遠くから見つめるだけで満足だなんて、いまどき、小学生だってアプローチ、プロポーズ、アグリメントと、迅速にとりつけるぜ」と、カラス君にさんざん笑われました。
カラス君は、自分の恋を実らせ、氷川神社の杜に新居を構えるまでになったので、僕に対して、大層優越感をもっているのです。
でもカラス君と違って、僕は、言葉も習慣も、僕らせきれいとは異なる雀さんに、恋をしてしまったのです。
せきれい仲間では、頭脳も、容姿も、人に知られた僕ですが、雀さんにとって、その僕の姿がどのように感じられるのか、まるで未知数なのです。
あぁ、僕はどうしたらいいでしょう...!!!???
突然ですが、それではみなさん、また。