新春を寿いで 紅梅図屏風
新年 あけまして おめでとうございます
新春の2日より、三栖右嗣渾身の大作、六曲屏風「紅梅図」を展示いたします。
この作品は、1984年の赫陽展に出品されたもので、元渋谷区立松濤美術館館長の村瀬雅夫先生は、当時の美術評に次のようにしるされています。部分を抜粋してご紹介いたします。
雪の多かった遅い春にさきがけ、満開の紅梅の春にこころゆくまでひたらせる力作が登場している。
三栖右嗣の六曲屏風「紅梅図」で、現代油彩画の実力者が試みた巨大版画と、現代装飾様式への挑戦の成果に目をみはらせよう。
畳一枚分を楽々刷れる世界最大の版画工房が日本に誕生して以来、巨大版画に手を染め、白と黒だけの「リンゴの木」などを試みてきた三栖は、今度は亜鉛版の腐食による濃淡の水墨調の枝幹に、燃え上がるような紅梅を散らした。一見水墨風で、余白は和紙の白のまま、日本画の伝統的な装飾手法の金砂子も使われた。華やかな装飾感とともに、現代日本画では絶えかけている線と濃淡余韻といった日本美術のよき特色が、いともやすやすと現代油彩画家の手によって版画という手法に生かされている技法革新は大きな驚きだろう。
どうぞ、この春も、ヤオコー川越美術館三栖右嗣記念館にお運びくださいませ。