花も、実も、海も、いのちあるもの...春・夏展示がはじまりました
みなさま、いつもヤオコー川越美術館・三栖右嗣記念館のブログをご覧いただきまして、まことにありがとうございます。
当館では年に2回、春と秋に展示替えを行っております。今回のテーマは、「いのち」。期間は3月15日(火)から9月11日(日)迄です。
花も、実も、海も、いのちあるものとして私を捉える。原色の花々は、南国の灼熱の暑さの象徴であり、人生に置き換えれば活力に満ちた季節を思わせる。二度と巡ってこないいのちを燃やせ、燃えつくせという思いを塗り込めて私は描く、熟れたリンゴの、その真っ赤ないのちが陽光に輝き、つめたい初冬の野の姿を私は好む。熟れきって今を盛りのリンゴ達もやがて枯葉と共に土に還りまた新たな芽ばえとなるであろう。そして、人もまたおいて身は朽ちるともそのひたむきな生きざまはその息子達の心の深底に根をおろすことを信じる。いずれも「生命」と云ふテーマが私にとっては共通するものなのである。
三栖右嗣
三栖右嗣の創造する世界は、つねに命の終焉と、その再生です。冷たいオホーツクの海辺に横倒しに打ち上げられた廃船と、その上を、横溢する生命を象徴するかのように飛ぶカモメたち。あるいは初冬に、枝から離れ地に横たわり、朽ちていくリンゴ達に射しこむ柔らかな陽の光。いのちを燃やせ、燃えつくせという三栖の叫びは、この世を生き抜いていく、人間を含めたあらゆる存在への応援歌のようです。
さて、展示内容のご案内です。
まず、初展示となります、0号から6号までの愛らしい作品たちです。
それから、春展示には欠かせない桜を描いた「爛熳」。今回は500号、150号、120号の3点が並びます。特に120号の「爛熳」はぜひご覧いただきたい作品で、流れ落ちる滝を思わせる、光に染まった桜枝が圧巻です。
さらに、まったく同じ構図の山あいの小さな湖を、油彩とパステルで描きわけた、絵をお描きになる方には垂涎の2作品があります。ともに「信州うみのくち」という画題がついています。
そのほか、真っ黒に日焼けした子供たちの「弓を射る少年」「潮風・ひかり」。水底まで陽が射し込む「光る海」。常設展示作品の「老いる」「生きる」「アトリエにて」など、ぜひご覧いただきたい作品群が皆様をお待ちします。
川越蔵の街通り、喜多院、氷川神社とそのすぐ近くの新河岸川の桜並木など、見どころ満載の川越散策の〆は、 ヤオコー川越美術館へ。 館員一同こころよりお待ちしております。 byひらい